痛みは体のあらゆる場所で起こります。頭痛・頚部痛・肩痛・背痛・腹痛・腰痛・殿部痛・膝痛などetc 本当に辛いですね。

そもそも痛みには、「急性の痛み」と「慢性の痛み」の2種類があります。「急性の痛み」とは、体に傷を受けたときや急激な内臓の炎症などの際の「警報機」としての役割があります。

例えば頭蓋内出血なら頭痛、虫垂炎なら右下腹部が痛くなる等の症状がありますね。ここでは主に自律神経の中の交感神経が重要な働きをします。交感神経の刺激で副腎という臓器からアドレナリン(不安や興奮に関係している交感神経の伝達物質)が分泌され、血管が収縮し、局所的に血液が少なくなり止血機能が亢進します。

また炎症を抑えるために副腎皮質ホルモン(体内ステロイドホルモン)が分泌されたりします。このような生体の働きを「ホメオスタシス(恒常性維持)」といい、生物に備わった素晴らしい能力の一つです。通常はこれらの働きによって炎症が引いたり痛みが軽快したりします。

では「慢性の痛み」についてはどうでしょうか?一言で言うと、「慢性の痛み」とは上記で述べた「警報機」がもう必要もないのに「鳴りっぱなし」の状態であるということです。

もう警告の役目は終わっているにもかかわらず、いつまでも不必要な警報を鳴らし続ける「慢性の痛み」は、もはや痛みそのものが病気になってしまっているという証拠なのです。

そうなると上で述べた「ホメオスタシス」は崩壊し、体を支えている微妙な生体バランスも崩れ、生体全体の活力も低下し、しまいには精神にまで影響を及ぼすことにもなりかねません。

●「慢性の痛み」に対して
現代医学、特に西洋医学は「急性の痛み」に対しては非常な強さを発揮します。外科手術であったり強力な抗生物質や抗炎症剤であったり、それらが適切に施されれば劇的な改善効果を生みます。

しかし「慢性の痛み」に対してはどうでしょうか?上で述べたように「ホメオスタシス」が崩壊した状態で、西洋医学のような強力な治療を施したら・・・かえって体の微妙なバランス破壊を促進することになり逆効果なことが多いのです。ですから「慢性の痛み」に対してはむしろ逆の考え、すなわち「自然治癒力」を高めるという発想が必要です。そしてこれこそ東洋医学の発想法なのです。

●自然治癒力」とは
自然治癒力とは元々人間や動物が持っているケガや病気を治す力のことです。例えばウイルス性の風邪については、よく病院などで抗生物質が処方されたりしますが、ウイルスに対しては全く効果ありません。健康な人であれば余計なことをしなくても大概は3〜4日で自然に回復していきます。これこそ「自然治癒力」のおかげなのです。

ではよく病気になりやすい人というのがありますが、これは自然治癒力が低下した人のことだと言えるでしょう。東洋医学で「未病」という言葉がありますが、これは自覚症状はあるのに、検査の数値や所見では何ら問題のない人を指します。何ヶ月も首や肩が痛くて仕方がないのに、病院に行ってもレントゲンやMRIを撮って問題ないと言われ、湿布や痛み止めを処方され続けている人は大勢いるでしょう。そのうち仕事や日常生活にも差し支えるようになると、これはもう立派な病気と言えます。

すなわち「慢性の痛み」に伴うストレスが「自然治癒力」を低下させた結果、症状を悪化させてしまうという悪循環が生じているのです。

●ストレスと「自然治癒力」
このようにストレスと自然治癒力とは密接な関係があります。体にストレスがかかると、脳の中の「視床下部」という器管を介して自律神経(交感神経)が緊張します。ストレスが継続し交感神経が過緊張状態になると、体中の血管が収縮し臓器の血流障害がおこります。血流障害をおこした臓器はやがて痛みなどの症状を現すのです。

またこの頃には、絶えず体がだるい、疲れやすい、頭が重い、眠れない、体が冷えるなどの全身症状として現れることがよくあります。これがいわゆる「未病」の状態です。この状態では「自然治癒力」が非常に低下しており、本物の病気に極めて移行しやすい状態と言えます。

●「自然治癒力」を高めるには
以上のように、交感神経の過緊張が「自然治癒力」を低下させている主な原因であるとお話しました。では「自然治癒力」を高めるにはどうしたらよいでしょう?そうです、交感神経の緊張を緩めればよいのです。

このためにペインクリニックには「星状神経節ブロック」という方法があります。これは、のどにある星状神経節という交感神経が合流している場所に局所麻酔剤を少量注入する方法です。これにより交感神経の緊張が緩和し、全身の血管も拡張し血流も改善します。実際、星状神経節ブロックを行うことで頚部動脈の血流が2倍近くに増加することが明らかになっています。

また、同時に脳の血流も増加させることも判っています。特に上でお話した「視床下部」という中枢組織の血流が増加することにより、思いもしなかった自然治癒力上昇の効果があることが近年わかってきました。

●「視床下部」の働き
視床下部には主に次の3系統を統御する働きがあります。「自律神経系」、「内分泌系」、「免疫系」の3つです。これらはそれぞれが独立しているわけではなく、複雑にからみ合って機能しています。我々は生まれてから死ぬまで、いや生まれる前からこの視床下部の絶妙な統制の下で生きています。

例えば「朝、決まった時間通りに起きられる」のも「年齢とともに体が変化していく」のも「病気になりにくい」のもすべてこの視床下部が統制しているからなのです。逆に言えば、この視床下部の働きがほんの少し狂うだけで、我々の体には様々な症状として噴出することが容易に考えられるでしょう。「更年期障害」という病気がありますが、これは主に女性が閉経前後にホルモンバランスが大きく崩れたために、その影響が視床下部のレベルに及び、様々な症状として噴出したものです。

この視床下部の血流を増加させることにより「自律神経系」、「内分泌系」、「免疫系」の3つの働きを賦活化させ、「自然治癒力」を上昇させることこそ「星状神経節ブロック療法」の大きな目的なのです。(詳細をお知りになりたい方は「若杉文吉著 星状神経節ブロック療法 マキノ出版」を御覧ください)

●「痛み」のもう一つのメカニズム
さて今まで臓器の血流障害により「痛み」などの症状が生じるとお話してきました。しかし「痛み」のメカニズムはもう一つあるのをご存知でしょうか?それがトリガーポイントという考え方です。次のページでこのメカニズムについて詳しく触れます。

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