トリガーポイントと筋膜性疼痛症候群(MPS)とは
よく肩こりや腰痛などで他人にマッサージをしてもらうと、たまに「ああ、そこそこ」という場所に触れることがあるでしょう。
この部分を「圧痛点」といいます。この圧痛点は複数存在することもしばしばあり、その中でも痛みの根源ともいうべき部位が存在します。その部分を「トリガーポイント」と呼んでいます。
ここを圧迫すると肩や腰はおろか、眼の奥や下顎などの離れた場所に痛みが響いたりします。
実際この場所を治療することで、長年患っていた頭痛や眼の奥の痛み、歯の奥の痛みなどが取れてしまったりするのです。これはどうしてなのでしょうか?
痛みのある場所の筋肉は「筋硬結」という筋膜や筋線維が硬くなった状態になることがあります。
この筋硬結は周りの血管やリンパの流れを阻害します。これだけだと普通の圧痛点なのですが、これに冷え、ストレスなどの刺激が加わり末梢循環不全の状態が持続すると、筋硬結は「トリガーポイント」化します。
そうなるとトリガーポイント化した部位への圧迫で遠隔部へ痛みが放散(関連痛)するようになります。
さらに痛みとストレスが続けば自律神経(交感神経)への影響も出始めるようになり、交感神経刺激が続けば末梢循環不全も強くなりトリガーポイントもますます活性化するというわけです。
この状態を筋膜性疼痛症候群(MPS:Myofascial Pain Syndrome)と言います。
近年の研究では、「トリガーポイント=過敏化した侵害受容器」というのが有力な意見です。
部位ではなく生理学的な状態なのです。さらにトリガーポイントは「Fascia(ファシア)」に発生しやすいことがわかってきました。
ファシアとは、筋膜を始めとした腱や靭帯などの線維性結合組織を示す名称であり、近年痛みの原因として注目されています。(詳しくは、こちらを参照)
以前はFascia=筋膜と訳していましたが、筋膜以外も含むため、カタカナで「ファシア」と記載します。筋膜性疼痛症候群(MPS)も筋膜というファシアが原因で痛みを引き起こします。筋肉に限らず、人体は内外にたくさんのファシアで覆われています。
エコーガイド下Fasciaリリース(特にエコーガイド下ハイドロリリース)
上に述べたトリガーポイントを発生させている場所を発痛源(source of pain)といい、エコーで観察すると異常なFasciaは白く重積(エコー画像上で帯状の高エコーとして描出される傾向にあり、fasciaの重積像[stacking fascia]と呼ぶ)していることが多く、ここに生理食塩水等の薬液をFasciaに十分かつ丁寧に広がるように注入していき、薄皮を剥がすように組織をばらけさせます。
これが、「fasciaに対する『エコーガイド下ハイドロリリース』(=エコーガイド下fasciaハイドロリリース)」という注射手技です。そうすると治療直後より鎮痛効果と血流改善効果、軟部組織の柔軟性の改善が見られる傾向にあります。
その他には、鍼治療によるエコーガイド下Fasciaリリースをエコーガイド下鍼治療と、徒手治療はエコーガイド下徒手治療などと、呼んでおり、fasciaの治療手技として注目されています。(詳しくは、一般社団法人日本整形内科学研究会(JNOS)のHPを参照)
エコーガイド下Fasciaリリースの主な適応疾患
- 頭痛
- 変形性頚椎症
- 五十肩(肩関節周囲炎)
- 三叉神経痛
- テニス肘
- 腱鞘炎
- 腰痛症
- 坐骨神経痛
- 股関節痛
- 膝関節痛
- 線維筋痛症
- 筋筋膜性疼痛症候群(MPS)
その他各種の慢性疼痛でお悩みの方
エコーガイド下Fasciaリリースの料金について
ペインクリニックに関しましては基本的に保険診療で行っておりますが、予約料として別途2,000円いただいております。何卒ご了承ください。
プラセンタ注射について
上記のエコーガイド下Fasciaリリースにプラセンタを追加した注射も行っています。
組織の血流改善効果や自然治癒効果(詳細解説)をさらに高めたものです。治療料金はご相談ください。